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2021年10月6日水曜日

気温2度上昇 逃げられない現実

 ノーベル賞の選考には時々の政治が絡む。少なくとも平和賞、文学賞、そして経済学賞にはその傾向が著しい。政治性とは言わないまでもある種の社会性は理学系の選考にもあるようだから、今年はさしずめ COVID-19 関係かなと思っていたら、気象変動の方だった。

8月に出た IPCC の報告では 2040年までのあいだに 50%の確率で1.5度気温が上昇するという。仮にCO2 排出をゼロにできても今世紀後半には気温上昇の中間シナリオで2度上昇するという。上昇を測る基準となっている時点で地球の気温は産業革命以降0.6度上がっているというから、我々の世代が生きている間に2度上昇することは既に確定したわけだ。

海面が上昇し、全世界の海抜1m以下の広大な農作地は失われ、砂浜は消え去り、沿岸部の大都市は水浸しになる。大型台風をそれに伴う災害が激増し、多くの生活・産業インフラも危機に瀕する。旱魃と大雨で農業は一層不安定になり、食糧危機要因がたかまる。海の中の生態系もどんどん変わり、この日本列島でも現在のように豊かな漁獲は失われるだろう。

IPCC報告があげている温暖化による変化は憂鬱なもので、若い世代には絶望的と感じられるかもしれないものだ。それでもこの現実に向かいあうしかない。

つまり現在のCO2削減など温暖化対策は、不可避である気温上昇を少しでも遅らせ、その間に不可避的にやってくる2度上昇した新しい地球環境の中での新しい社会をよりましなものにするための時間稼ぎということだろうか。

右肩上がりの時代を生きた我々の世代は、黙っていれば「後は野となれ山となれ」と振る舞っているのと変わりないことになるのだろう。逃げないこと。年老いてからはいささか辛い。

フエダイという中国料理で出会いそうな魚が260円で出ていたので買ってみた。時間がなかったので煮付け。おいしかった。