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2010年8月13日金曜日

大学説明会で出た質問

先日、くそ暑い中で、「オープン・キャンパス」と称して、高校生相手の大学説明会があった。18歳人口、つまり「お客様」人口が減り始めた数年前から始まったものだが、この暑さだというのに、毎年参加者が増えている。奇怪なのは、同伴する親の増加率が更に著しいことだ。付いてくる親も親だが、それに甘んじているいい歳をした若者は一体どうなっているのか。つい、参加者に記帳でもしてもらって、親と一緒に参加した受験者は一律に不合格にしてしまえと思ってしまう。「『大学説明』や『入試要項』に書いてあること以外は喋ってはならない。なぜなら、そうすると説明会に出なかった人とのあいだで不平等が生じるから」という、これまた訳の分からないお達し(それならそもそも説明会などやらないのが正しい対応ということになる)が噂されたりする中で、面白おかしくもない説明会なるものが終日行われた。

大学側は、「まだ見捨てられていないようだ」という安心感を得ることができ、高校生やその親の側にとっては、「こんな所なのだ」という空間体験を得ることができたのだろうから、それなりの成果はあったとすべきなのだろうか。ともあれ、僕にとっては何とも虚しい時間であった。

そんな中で考えさせられることもあった。担当する説明の場が終わった後で、「学費はいくらになりますか?」「奨学金ってどうなっているのでしょうか?」という質問を受けたのだ。こんな質問を受けたことはこれまでなかった。事態はここまで深刻になっている!

説明会に来て尋ねなくても調べれば、ある程度の見当はつくことなのだが、改めて真剣な顔で尋ねられると思わず背筋が伸びた。民主党政権になっても一向に変わらない文教予算の削減。その重点的一環としての大学予算の大幅削減。大学説明会にうんざりする前に、こうした政治動向と自分はきちんと闘っているのか。この春、お茶の水駅頭で奨学員制度の抜本的改革を求める署名活動をしていた学生たちを思い起こし、改めて我が身を振り返った。あの学生たちと比べたら、ずっと楽な所にいながら自分は何をやってきたのか、、、