About

2012年12月2日日曜日

崩落注意?!

クルマの運転はこわい。自分が十分に注意し、前後左右のクルマから顰蹙をかうような安全運転に徹していても、他の運転手がいい加減な運転をしていれば事故に巻き込まれる。そして大抵の自動車事故は赤チンに絆創膏では済まない。

「落石注意」という道路標識がある。注意して一体どのように対応すれば良いのか。人間が注意していれば落石がなくなるわけではない。岩石は人間の意志とは無関係にあるいは留まり、あるいは落下する。「注意」の如何に関わりなく落ちてくる岩石に対して考えられる合理的な対応は、この標識を見たら速度規制を無視してでもできるだけ早く走り抜けるというものだろう。

しかし、トンネルの壁や天井の崩落は自然現象ではない。米国ではニューディール期・30年代に大規模に建設された道路や橋などの維持管理・補修が不十分だったために、70年代から80年代にかけて大きな社会的損失を生んだという。日本では60年代から70年代にかけて道路橋などのインフラが拡充された。それから約半世紀たっている。この6月に国交省は、地方自治体が管理する老朽化した道路橋の「長寿命化」の取組み率は、何と全国平均で11%と報告している。

中央道の笹子トンネルが作られたのは77年である。僕は、南関東直下型地震が迫っているのにもめげずに都内に越してきたかなりアホか)ため、年に数回首都高を使う。とても走りにくい。首都高は60年代前半から作られた。素人目でも至る所にひび割れや錆が見える。この春に発表された国交省や首都高速道路会社の「有識者会議」報告によると、総延長のうち半分が30年以上経っており、未補修の損傷件数は9万6600件。1キロ当たりの損傷箇所は平均約190カ所、都心環状線では約600カ所だそうだ。

高速道路だけがこのざまなのだろうか。既存のインフラの中でも自動車業界の圧力で優遇されてきただろう道路ですらこのありさまなのだから、大地震などの防災に関するインフラはもっとお寒い状況ではないかと疑ってしまう。

ところで今度の都知事選の候補者は、原発ゼロを明確にしている一人を除いて、全員がオリンピック招致(招致運動だけで何百億とかけている)に賛成している。オリンピックの前に急いでやるべきことがないとでもいうのだろうか。どうかしている。崩れ落ちてくるのはトンネルの壁だけではないようだ。