2011年1月11日火曜日

西洋美術館

都内に越してきてから初めて上野の西洋美術館へ行った。終了間際になったデューラーの版画展を見るためだ。

版画は複製でも現物と大して変わった印象がない。10年程前に東京駅に新設された画廊で有名なものを見たこともあり、今回は好きな画家への義理立て、そして折角近くに越してきたのだから上野の「使い勝手」を経験しようという程度の気軽な気晴らしだった。

デューラーの方は、期待をさして裏切らない。早朝だったため、空いていて落ち着いて楽しむことができた。折角来たのだからと寄った「Outsiders」という企画が、期待もしていなかったのに面白かった。見たことはある Jacque Callot の道化と乞食の作品がまとまって展示されており、特に後者はどの人物構図もよく、何よりも暖かい眼差しに打たれた。




http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/outsiders201012.html#mainClm

序でに、懐かしの常設展を見て回った。この20年で色々の新しいものが入っており、松方コレクションの割合が著しく減っている。しかし、新規購入されたものは、いずれも、松方のコレクション水準と比べても、「どうしてこんなものを日本でわざわざ買わなくちゃあならんのか!」という代物ばかり。所詮は<西洋美術>を美術の範型にしてきた後発の脱亜入欧国の悲しさか。だが、20世紀末から21世紀になっても<西洋美術>一点張りとは何ともはや寂しい。西洋美があるなら、東アジア美術館や中東美術館、インド美術館などがあってもよいことになるだろう。世界各地の美術館を作る経済的余裕もないし、パリやロンドン、ベルリン、そしてNYやワシントンのような帝国のメトロポリタンに東京がなることを目指さないとしたら、西洋美のあり方も変えなくてはならないのだろう。西洋美術館はもうそれ自体が時代錯誤の美術館になっているのではないか。

そういえば僕が西洋美に行くのも約30年ぶりだった。