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2011年9月8日木曜日

責任の所在

やはり原子力安全・保安院は、3月11日当日のうちにやがて炉心溶融がおこるとの予測を受けており、また放射性物質拡散予測も知っていたという。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110902-00000117-mai-soci
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110902-OYT1T00978.htm

報道から読み取れる 安全・保安院の対応は次のようだ:
全電源喪失直後:安全・保安院は、緊急時対策システム ERSS による事故進展予測を、 ERSS を開発した原子力安全基盤機構 JNES に依頼。
同日21時半頃:JNES は、2号炉についての予測を安全・保安院に報告。
同日22時45分と12日0時過ぎ:安全・保安院、2号炉について「22時50分 炉心露出 24時50分 燃料溶融」と文章化した報告を内閣府に連絡。
12日朝:保安院、JNES 解析結果を使って緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)により影響計算結果を得る。
12日正午頃:JNES 、1号炉についての予測を安全・保安院に報告。
13日6時30分:JNES は3号炉についての予測を安全・保安院に報告。
同6時50分:保安院は3号炉についての予測を内閣府に報告。


また、保安院は1号炉は、どの時点から定かでないが、約15時間半後、2号炉と3号炉は約8時間半後に炉心溶融すると予測を得ており、SEEDIによる拡散予測もしていたが、その結果は公表もせず、また内閣府に報告していなかったという。


これは例えば業務上過失致死傷などの犯罪に当たることといってよいのではないか。こうした対応によって生じた社会的被害は、地理的・時間的広がりにおいて実に広く、何万人もの健康と生活を奪い脅かすものであって、それは現行刑法で定めている放火・失火、出水・水利妨害、往来妨害など「社会的法益」を害するとされる行為よりも重く深刻なものではないのか。こうした結果を生じる行為を犯罪と規定する現行の刑事法規がないとすれば、これは司法の場ではなく政治の場で責任が追及されて然るべきではないかと思う。


半年後にこうした事実が明るみに出されたのは、「もう今なら嫌になって誰も文句をつけてこないだろう」と、人々の足許を見てのことと思われてならない。