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2010年3月13日土曜日

簡単英語

友人が国際学会で発表するための英文原稿を、4万円以上払ってnativeの人に点検してもらったという。所詮は日本語で育ち、学んできた者なのだからnativeから見れば少しおかしな英語であっても、要点が伝われば良いではないか。それを「英語らしい英語」にしないと笑う、中身に関係なく低く評価する、果ては初めから受け付けな、いというのでは、総てにわたって英語を母語にする連中が有利になり不公正ではないか。従って、「まともな英語」にすることにかかる費用の総てはnativeの連中が負担する。これがまともな対応というものではないか。

こんなことを呟いたら、連れ合いが「それでは結局のところ、マトモな英語が基準になってしまうからnativeの圧倒的優位は変わらない。むしろ英語を母語にする連中にもplain English とか simple English を使うことを義務づけてしまう方がいい。使用語彙はせいぜい3000くらい、話す速さにも制限を付ける。発音についてもある幅を持たせる。それができないnativeには、母語でない人と同様にそのための”通訳”を義務づける。その費用負担は参加者全員が負担するけれど、母語の人が2なら、そうでない人は1くらいの負担差をつけていい」といった思いつきを出した。

英語支配によって米国や英国が無償で得ている利益は、政治経済の世界だけに限らない。アメリカやイギリスの大学が勝手に世界ランキング第何位とか称していることも、また国際学会誌に発表されることが第一線にあることの証拠とされ、その学会誌が英語しか受け付けずにいつことも、人類の多様な知的営みを画一化し極めて貧しいものにしている。

喫煙規制にどこか似たところがあるが、まず複数の言語使用者が集まる何人か以上の国際的会合の総てに英語使用についての規制をかける条約を締結すべきではないか。