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2010年3月15日月曜日

コラーゲン

新聞も広告が取りにくくなったのか、それとも読者が高齢化したためか、いわゆる健康関係広告が目立つようになった。正確にいうと僕が最近このことに気づくようになったらしい。連れ合いによると、もう数年も前からどんどん増えているというから、単に僕が鈍かっただけのこと。

中でも笑ってしまうのが、「コラーゲンが増えます」といった類いの広告だ。何かの軟骨だの、こってりしたスープだとかゼリーとかを摂ればコラーゲンが増えて「もちもち肌」「つやつやお肌」になるとか、膝の痛みも解消するとか、痛いところに擦り込めば痛さも和らぐといった宣伝が、新聞には毎日のように出ている。そんな筈はないではないか。コラーゲンは消化の際にアミノ酸に分解され(その後はどうだったっけ?)、コラーゲンを律儀に痛いところだけに増やしてくれる訳ではない。何とか軟膏を一生懸命に擦り込んでも「お肌に染みとおる」わけではなく、肌のごく表面の角質部分の隙間に入り込むのがせいぜいだろう。大体、そんなものが「お肌」にしみ込むくらいなら、分子がもっと小さな水こそ最もよく肌にしみ込み、手洗いする度、入浴するたびに我々は水ダコ状になってしまう筈ではないだろうか。

この種のインチキには化粧品という大手の大産業がある。しかし、化けることができると思っているのは若者の特権で、既に諦観に達している年寄りが化粧品にカネをかけてくれる可能性は低い。そこで今度は”健康”が売り物になるのだろう。こいつは上っ面ではなく、年寄りに相応しく身体の内面から迫るというちょっと渋い手法であるところが面白い。