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2008年5月26日月曜日

臨界点を越えたのか


昨日と今日、NHKスペシャル「北極大変動」を見ていて憂鬱になった。

何万年もの後の太陽の「爆発」は、余りに遠い先のことでもあり、いま現在の我々の日々の営みには影響しない。しかし、この10年も立たない間に夏の北極海の氷が4割も減り、このまま行けば今世紀の半ばには夏の北極海から氷原はなくなるとの科学者たちの予測には参ってしまった。

氷が薄くなった北極海では、海底の資源開発がやりやすくなって、天然ガス産出が急激に伸びているという。二酸化炭素排出はいよいよ拡大し、温暖化は加速する。これこそ clear and present danger (今ここにある危機)というやつではないか。

番組には、「高い賃金で、きっと私たちの子どもたちもここで働くでしょう」という海底油田基地で働く労働者や、「天然ガスを産出するだけでなく、一方で二酸化炭素を海底に封じ込めも進めている」という技術者、そして「今後、現在の埋蔵量の4倍を我々は手にする」と言ってのけるガスプロムの幹部が映されていた。

今日の夕刊によれば、G8環境相会合では、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年には半減するため、「先進国は50%を大幅にこえる削減」するとの議長総括案に米国政府は反対した。ミャンマーの軍事政権もひどい。しかし、温暖化の現実を前にしても自らの政権基盤の利害を全世界を相手にふりまわす米国政府も、かなりひどい。NHKクローズアップ現代では、その米国では南部を中心に水の供給が危うくなっており、また今年だけで百以上の竜巻が起こり大勢が亡くなっていると伝えていた。

「後は野となれ山となれ」なのか。改装のなった勤め先の教室では、今日も学生たちが昼間から明かりをつけ、エアコンを使っていた。