2013年6月5日水曜日

明文改憲に目を奪われていると

先だっては「マイナンバー法」なる個人情報一括管理法があっけなく通ってしまった。そして今度は、生活保護を申請すること自体を難しくする生活保護法「改正」案が出され、これまたさっさと衆院を通ってしまった(橋下デマ発言などに目を奪われていたことが恥ずかしい)

これは、生活保護の不正受給をなくす”との触れ込みで、申請の際に資産や収入証明書類の添付を義務づけるものだ。生活保護など自分とは縁がないと思っている人には「当り前だろ!」と思われることかもしれない。しかし、困っている時には資産証明、収入証明どころではないのである。まず「助けてください」があって、次にこれを受け付けた福祉事務所が保護の要否を審査する。資産や収入の証明はこの審査の段階でなされる。そもそも生活に困っている人は日々の生活や病気で、資産証明、収入証明どころではないのである。

申請段階にこうした高い敷居をつくることは、悪名高い北九州方式とか「水際作戦」として全国の窓口で問題となっている門前払いの追認ではないか。それは生活保護申請数そのものを減らすことによって、生活保護の開始決定が少なくても保護開始不決定の率が上がらないように見せかけ、餓死者が増えようが、自殺者が増えようが「窓口としてはちゃんとやっています」「日本の福祉は悪くなっていません」とごまかす効果ももっている。

「生活保護基準が高すぎる!」と叩いたかと思ったら、今度は申請自体をはねつけようというわけだ。実に腹が立つ。この門前払い方式の制度化は、改正案のままでは露骨過ぎ、国連の社会権規約委員会からも非難されたため、「特別の事情があるときは、この限りではない」という例外扱いを認める修正がなされた。しかし、原則は書類提出である。一体、誰がこの「特別の事情」を訴え、それを誰が認定するというのか? 申請の敷居が著しく高くされたことには変わりはない

96条改憲に反対するのも結構だが、こうした並の法律改正によって着々とこの国の社会基盤が壊されていくことをくい止めなくては、明文改憲反対どころではなくなってしまう。