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2009年10月10日土曜日

ノーベル平和賞という政治



オバマにノーベル平和賞とのことで、苦笑している。文学賞というやつもも怪しげだが、平和賞の方は露骨に時々の政治状況に合わせたメッセージになっている。94年には、パレスチナ和平に功績があったとして、PLO議長のアラファトがイスラエルのペレスやラビンとともに受賞者となっている。パレスチナから1人に対して、イスラエルからは2人という「バランス」。それでもオスロ合意で「お世話になった」からということか、アラファトは再び北欧に赴いていた。このあたりからパレスチナ民衆の運動に対するアラファトの首切り役人的役割が露骨になったというべきか。その20年前、ベトナム和平に功績があったとして、73年にキッシンジャーと一緒に受賞者になったレ・ドゥクトは、侵略者と一緒にされてはかなわんということだろうか、辞退している。

そういえば、日本でも平和賞の受賞者がいた。あの核つき沖縄返還をやった佐藤栄作だ。受賞の理由は何と「持たず作らず持ち込まず」の非核三原則を国是としたこと。当時から怪しまれたことだが、公開された米国政府文書、そして最近では日本外務省元次官の証言によって、「持ち込まず」には裏約束があったことが暴露されてしまった。そして今では2.5原則になりかかっている。

核軍縮におけるオバマのイニシアティブの功績は米国大統領としては画期的なものと認められるだろう。しかし、それが実現するかどうかは総て今後にかかっている。そんな不確かなものに対して受賞するのか。オバマに対するノーベル賞委員会の意図は、イラク攻撃を思いとどまらせること、アフガンからの早期撤兵への圧力をかけることあたりだろうか。

アフ・パック戦争からの撤退に目処をつけられなかったり、来年に予定されているQDRあたりで、通常兵器に加えて軍事的おける圧倒的優位を確保するべく米国が進めてきた宇宙outer-spaceにおける軍拡に歯止めがかけなかっりしたら、この受賞は政治的目くらましということになるだろう。

ピエール&マリー・キュリーだったか、そのイレーヌ&ジャン・フレデリック・ジョリオ=キュリーだったかは、メダルを捨てる訳にもいかず置場に困って、犬の首輪にぶら下げておいたそうだ。