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2012年4月24日火曜日

多数代表制の時代は終わった?


近所を歩いていたら、植え込みの端からアミガサタケがのぞいていた。おいしいキノコなのだが、汚染を怖れて採取は諦めた。まったく東電と政府にはアタマにくる。


フランス大統領選挙第1回投票では、移民排除を訴える国民戦線Front national のルペン Le Pen が18%近くを得票し第3位を占めた。第4位は左翼戦線 le Front de Gauche (なぜか日本では極左とレッテルが貼られている)のメランション Melenchon で得票率約11%。1位につけたオランドが約28%で、サルコジが約27%。そして全体の投票率は約80%。


5月6日の決選投票に残った双方は、第3位以下へ投じられた票の獲得に向けて釈迦力になる。かつてなら国民戦線票はサルコジへ、左翼戦線票はオランドへ流れるものと、ほぼ予想できた。ところがルペンはこれまで前面に出していたサルコジ批判を弱めていない。他方、「左右を越えた支持」を訴えているオランドに対して、メランションは極右との絶縁を求めている。いずれも大統領選挙だけでなく、その後に予定されている議会選挙での議席をにらんでのものだ。


こういう動きを見ると、「議会までの民主主義」を越え「行政権までのまでの民主主義」の実現を謳って、多党状況を人為的に2極へ絞り込むべく導入されたこの国の小選挙区2回投票制が限界にきていることを感じざるをえない。確かに第2回投票での多数派形成工作は、それまで議会内の「民意からかけ離れたところ」で隠れて行われていたという駆け引きを、「選挙民の面前」で公然と行われる透明性の高いものにしたかもしれない。しかし、その多数派形成の内容は、今回は多くの有権者にとって訳の分からないものになっているようである。


それはサルコジの右派とオランドの中道左派との違いが少なくなり、両者によっては代表されないと感じる者がふえ、政治勢力としても自立し、多党化状況を強めているからであろう。こうした状況は海賊党が躍進したドイツでも見られる。そして日本の現状も同じ脈絡で理解できると思う。多数代表制によって人為的に2極対立を作り出し、「強い政府」「機敏に動く政府」への「民意の反映」を計れば政治に正当性が得られる時代は終わったと思う。