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2008年7月13日日曜日

いびつな頭

暑くなったので、以前に子どもの髪を刈るのに使っていたバリカンを自分の頭に使ってみた。久しぶりだったこともあって、刈り込む髪の長さを5ミリ、3ミリと調整するための櫛にあたる部品をはめるて使うのを忘れた。映画などで兵役に捕れれた若者や収監者がやられるシーンのように、髪が刈り込まれたスジが、瞬く間に見事に通ってしまった。我ながらびっくり。

そこはしかし歳の功(?)で、泣き喚きもせず、「さてどうしたものか」としばし思案した。額上から頭上にかけては既に禿げているので、モヒカン刈りというわけにもいかない。右半分だけというのも様にならない。西洋の坊さんスタイルにするには、刈り込まれた部分が上過ぎてこれまた格好がつかないし、突然に耶蘇教徒の真似でもあるまい。どんなデザインを考えても遊んでいるとしか思われない。まだ、給料を稼がなくてはならない僕としては、ヘアならぬ禿げスタイルで遊ぶ訳にはいかない。

そこで、あっさりと諦めて全面丸刈りにすることにした、スキン・ヘッドが右翼の専売特許の時代でもない。風呂場でカミソリを使って坊さんスタイルにそりあげてしまった。さっぱりした。ところが、鏡を二つ使って後ろから見える我が禿頭を眺めて呆れた。まったくいびつで、不格好。まるで白土三平の漫画にでてくるえげつない悪坊主のデコボコ頭といった案配なのだ。

どうやら僕は、坊主刈りにすれば自動的に、どこかのサッカー選手とか、ペットボトルのお茶屋のコマーシャルだかに出ている俳優の頭のようなものになることを、勝手に期待していたらしい。我ながらアホだった。とは言ってもアホな失敗をしたつけなのだから今更仕方ない。

僕に会う人がびっくりするかもしれないので、「少し思うところがありまして」とか、「今更未練がましくもしたくないので」とか、「これも床屋代を浮かせるためです」とか、「温暖化に対するアピールです」とか、せめて恐ろしがられないための台詞を考えておかなければなるまい。こう思っていたのだが、最初にこの丸刈り姿を見た我が連れ合いの曰く、「あら、随分すっきりしたじゃない」。今更、動じるふうでもない。

予め考えておかなければならないことは、どうやら、この頭の中味もその外形のようにいびつで歪んでいることを気取られないことあたりか。