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2009年9月9日水曜日

「ここはグァンタナモではない」

インフルエンザがほぼ撃退できたと思ったら、今度はずっと昔に虫歯をなおし、アマルガムを被せた奥歯が痛み始めた。一日、バッファリンで誤摩化したが痛みは和らいでこない。単なる疲労による違和感や痛みではない。ネットであれこれ評判を見て、駅北の小さなところに連絡した。何しろこの近辺は角を曲がれば何とか医院、何とかクリニックと病人の数より医者の方が多いのではないかと思われる程で選ぶのに困る。
痛くてたまらないと言っても予約をとれという。辛いので余程に他を当たろうかと迷った。しかし、直ぐに見てもらえる所からすぐ他に見つかるか保障もない。仕方なしに予約し、やっと見てもらうことができた。

雑居ビルにある小さなうなぎの寝床状の診療所。
こちらは腫れがひどいので、まずは腫れを収めてから麻酔をかけ、かぶせてあるところを取り外し、残っている神経を取り除くという1ヶ月かかりの大騒ぎになるという。まだ生えて来ていない親知らずが奥歯を圧迫し、その歯茎を「溶かす」原因になっているので、今傷んでいる所が終わったら、親知らずも抜いた方が良い。他にも小さな虫歯があるとのこと。

昨日は、抗菌剤と鎮痛剤をもらいひとまずは安心。「アルコールはどうですか?」「いけないとは言えませんが、痛い時には控えた方がいいですよ」なんて長閑な話しをした。

ところがしかしである。真夜中、薬がきれたのか痛みで七転八倒。「あー、俺を拷問すれば30分で何でも言ってしまうだろう。お願いだから何とかしてくれー!」何とかなるものではないことと分かっていても、そう願わずにはいられない。神様、仏様、どなた様でも結構です。この痛さを止めてくれるなら何でも言います、致します。「アルコールは断ちます」とでも誓えば何とかなるのなら、心から誓約いたします、、、果ては何か痛みを和らげるまじないはないものかとまで考えている自分に気づいた。

なる程、憲法第何条だったかに、「拷問はこれを絶対に禁止する」とある理由が今頃になって分かった。降りかかってくる苦痛が人為的になされるものならば、それを与える者の言いなりになってしまう程に人間は脆弱な存在であること。むしろ苦痛を感じることが正常な肉体の生理的作用であるならば、同じく正常な精神反応として苦痛から逃れるためには何ができるかを考え、苦痛がひどく辛いものであればあるほどに切実にそれからの離脱を願うのは正常な反応であること。

ナチに捕まり拷問にかけられたら「最低3時間だけは頑張れ、その後は頑張らなくても良い」としたルールをもっていたレジスタンス組織があったといったことを読んだことがある。3時間というのは、仲間が逃げるのに必要な時間、そしてその後は頑張らなくても良いというのは、捕まった者の生き残りに対する配慮。レジスタンス組織の中には、拷問に耐えられず「吐いてしまった」仲間は処刑するといった規律もあったというが、ずっと前者の規律の方がまともであり、実際的だったのではないかと思う。

バッファリンをのみ、それが効いてくる迄の1時間半の長かったこと。

8月24日米国司法省はCIAの報告書の一部を公開した。公開された部分を読むだけでも、CIAがどれだけ酷いことをしたかが分かる。黒塗りされたところには一体何が書かれていたのだろうか。

http://msnbcmedia.msn.com/i/MSNBC/Sections/TVNEWS/Nightly%20News/2009/cia_oig_report.pdf

http://www.guardian.co.uk/world/2009/aug/25/cia-report-techniques-interrogators