やっとのことで入れたロビーは、21階の上まで吹き抜けていて、美しいとは言えないまでもその空間に身をおくと「おっ!」と思わせるものがある。そこで写真を撮ろうとすると、今度は無愛想な表情を少しも変えないアラフォーの男性が出てきて、「ここではマスコミのぶら下がりもカメラは回せないことになっていますから」と言う。「私たちはマスコミではありません。どうして駄目なのですか?」と尋ねると、「撮ってはいけないことになっていますから」とナリマス節を繰り返す。
確かに身元も分からない不特定多数が、中央官庁の中枢が入っている建物内を動きまわることがあっては、困るかもしれない。しかし、中央官庁といえども国民の機関であり、それが入っている建物は国民の財産である。まずは国民に開かれているのが原則であって、門戸を閉ざすのはその合理的必要性がある場合に限られるというものではないのか。それにまた、せめて一階ロビーだけでも公開しておくことは、宣伝のためにもうまいやり方ではないのか。いわんや記念写真くらい何の支障があるのだろうか。