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2010年10月12日火曜日

良性発作性頭位めまい症

先月末に奥歯を抜いた。その頃からめまいがするようになり、次第にそれがひどくなって行った。一時は風邪もひいていたので、「風邪のせいだろう」くらいに軽く考えていた。丁度、後期が始まったことでもあり、「これは内なる登校拒否症の身体的表れかなぁ」とも思い、我がことながらあきれていた。ところが極力睡眠時間をとり、運動も止め体力を消耗しないようにしても一向に治っていく気配がない。初めての経験だけに、「これはとんでものない病気にかかっている兆候かもしれない」と不安になる。


風邪の症状も軽くなったところで、意を決して近くの病院へ行った。受診科は内科だろうと思っていたが耳鼻科へ回され、いくつかの検査を手際よくしてもらい、「良性発作性頭位めまい症」Benign paroxysmal positional vertigo(どう発音するのだろう)との診断をもらう。良性という以外は、単に症状を記しただけの病名だけれど、とんでもない病にとりつかれてのではないかと怖れおののいていた僕は一安心した。


三半規管に耳石が浮遊しているので目眩がするとの説明。面白かったのは、潜水用ゴーグルのようなものを付けられた眼振検査なるもので、目眩がしているときに医者は「はい、いま目眩がしていますね」と正確に確認したことだ。目眩がしている時には、眼が激しく動くのが見て取れるとのこと。つまり、本当に“目が回っている”という次第。


浮遊した耳石をあるべきところに落ち着かせるためのリハビリを教えてもらう。これが素晴らしく良く効く。第1回目で目眩は半減し、第2回目で更に半減するというぐあいに効いてくる。受診後、2日目には目眩は殆ど気にかからない程になった。


それにしても妙な病気になったものだと、あれこれ調べてみる。すると、「40〜60歳代に多く、春先や秋口などの季節の変わり目に多い。低血圧、貧血、アレルギー体質、高コレステロール値の人、中耳炎に罹った人がなりやすく、自律神経機能に関係している可能性も高い」とある。ほとんどが自分に当てはまる。


果たしてこれは、自分で自分のことがよく分かっていなかったという愚かさを証明することなのだろうか。ただぼんやりと歳をとっていてはならない、行く手に待ち受けている障害物にぶつからないように、しっかり自らの老いを見据えていなくてはならないという次第か。丁度ライトのないクルマで走っていたら急に辺りが暗くなって障害物が見えなくなった、というよりも、最近のクルマのようにライトの光力(? つまり先を見る力)も増して来ているのに、ライトでは見ることのできない障害物が飛び込んで来たといった感じがする。任天堂のマリオでは、新しい奴になる度にとんでもない障害物が飛び込んでくるが、それにしても画面に見えるし、新たに試されるのは反応の早さ、機敏さに過ぎない。しかし、そもそも見えない障害物が飛び込んでくるのだ。


まったく歳をとるということは、なかなかやっかいなことだと改めて思った次第。