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2011年4月16日土曜日

電力不足?


「地震は天罰」といってのけた原発推進派の石原都知事閣下が楽勝で4選されたためか、清涼飲料各社は安心して自販機の「輪番節電」に踏み切るそうだ。

http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20110415_440193.html
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E3E7E29E848DE3E7E2E6E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

報道では、例によって消費電力の時間単位がぼかされている。調べてみれば容易に分かるように、一世帯あたり電力消費量は、2009年で283.6kW/月である。他方、国内の自販機約500万台が消費する電力は毎時66億kWとも80億kWともいう。一台が1.2kW/hから1.6kW/h消費していることになる。つまり自販機1台は約860kWから1100kWを毎月消費している計算になる。つまり1台の自販機は一般家庭の約3倍からの電力を消費していることになる。なるほど消費電力の時間単位がぼかされるわけだ。
http://saijiki.sakura.ne.jp/denki1/jidou.html
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html


ところで、小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)の話しをまとめた文章を、あるMLで見かけた。分かりやすいので転載しておこう:







「原発なしでも電力足りる」



http://www.youtube.com/watch?v=PLJVLul6Wz0







4月9日:京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く(岩上安身)


以下は政府公表統計資料に基づく計算・推論です。


 現在、我が国の「火力」「水力」「原子力」の3つの発電施設が産み出す総発電量に対する、上記3つの発電施設が占める発電量の割合は(大まかに言うと)、火力発電が60%、水力発電が20%、原子力発電が20%といわれる。より正確には上記3つ以外にも太陽熱発電や地熱発電その他若干あるが、それらは除外しておく。

 ここでまず注意すべき点は、上で示される数字は「実際にフル稼働している割合を示す数値ではない」点である。上記3施設分野で、実際に稼働している率(実稼働率)は、

(1)火力発電の場合は、稼働可能な最大出電量の50%弱しか稼働していないので、実際の火力発電量が国全体の総発電量に対して占める割合は、60%のそのまた50%であって、0.6×0.5=0.3(30%)となる。
(2)同様に、水力発電の場合も、稼働可能な最大出電量の40%弱しか稼働していない。実際の水力発電量が国全体の総発電量に対して占める割合は、20%のそのまた40%の、0.2×0.4=0.08(8%)となる。
(3)同様に、原子力電の場合も、稼働可能な最大出電量の75%弱しか稼働していないから、原子力発電量が国全体の総発電量に対して占める実際の割合は、20%のそのまた75%の、0.2×0.75=0.15(15%)となる。

 政府や、発電会社や原発支持者が「我が国では発電総量の3割が原子力発電に依存している」と言うときの「3割」とは、上記(1)と(2)と(3)の3つを総計した総計に対する(3)の比率のことでしかない。すなわち、火力全体の30%と、水力全体の8%と、原子力全体の15%の3つの合計、30%+8%+15%=53%中に占める、原子力発電の15%の占める割合(すなわち15%÷53%=28%・・・これが、政府や発電会社やマスコミ、及び私たち市民大衆でさえ、漠然と思い込まされてきている【約30%が原発電気だ!】の内実。

「我が国では発電総量の3割が原子力発電に依存している」という際の3割とは、実際の稼働電力量の意味かのか、稼働してない休業中のものも含めた発電可能総電力量のことなのか、分母が何で、その分母で割られる分子の数値が何を意味する数値なのかを、まずキチンと確かめてから「30%(3割)云々」しないと、政府や原発会社の《すり替えデマキャンペーン》のトリックの罠にはまってしまう。

 火力発電30%と、水力発電8%と、原子力発電15%の3つを合計しても、総発電量の53%であることは、これら3部門をフル稼働した場合には46%は、供給能力に余裕があることを意味する。仮に、今現在稼働供給している全国の原子力発電の総電力量を15%分の全部を、休業中の火力発電でそっくり置き換えても、なお火力全体の75%(四分の三)であり、まだ25%の余裕がある。

 政府やその他が【約30%が原発電気だ】というのは、確かに全くのウソではない。それは、あくまで《現在稼働している3分野の総電力供給量に対して占める原子力発電供給総量の割合が3割!》という意味でしかない。稼働していないけれど、稼働能力のある火力発電及び水力発電の総量に対する、稼働可能な全原子力発電所の総発電量が3割、という意味ではない。

、火力発電でそっくり置き換えて、全国の原子力発電を1機残らず全て稼働停止したとしても、水力を除く全国の全ての火力発電所の全供給能力量の75%(四分の三)に留まる。その場合でも火力発電の供給量は、まだ25%の余裕がある。

 こうした事実を指摘された政府や電力会社は、「電気は貯めが効かないから、電気需要が一番必要なピーク時には、その25%余裕でも対応できないから・・・だから25%の余裕があっても安心できない」と反論している。

 こうした政府や電力会社の反論は、しかし、全く説得力がない。なぜなら、我が国の夏場の昼下がりも含め、最大需要電力量は、これまででも、水力発電と火力発電だけで間に合ってきている。確かに、1990年代の始め頃にだけ、真夏の3日間程の午後の数時間だけは、需要が供給を上回った時期も、過去に幾度かあったことは確かである。しかし、そのような非常時の時にこそ、工場等の大口消費を一時停止すれば十分済む。後述するように、そのために、産業用電力価格は、一般家庭電力価格よりも、はるかに安価に設定されているのだから、そうした緊急時の数日間は、産業用電力に節電を義務づければ済む。

 加えて、先進主要諸国の中で、日本は家庭用電気でも、産業用電気でも、世界一高い電気代を買わされている。また、産業用電気代は、家庭用電気代の40%の安い価格に設定されている。産業用需要の中で、最も大量に電気を消費する業種は、「電気の缶詰」とも呼ばれる、アルミ精錬産業である。また、農産物では、ハウス栽培のメロンもまた「電気の塊の果物」と呼ばれている。

 アルミ精錬産業の場合、1970年始め頃までは、国内生産でほぼまかなわれてきた。電気代の高額化が進んだことで、現在は自家水力発電所を持つ日本軽金属蒲原工場(静岡県富士川河口)1ケ所だけが生き残っているに過ぎない。他のアルミ精錬産業は廃業へと追い込まれるか、より安価な電気代を求め海外へ脱出した。高額な電気代が日本産業の空洞化の一因ももなっていることは、業界周知の事である。

 「原発コストは水道や火力より安い」ともよくキャンペーンが展開されているが、これも「間違いだらけ」「事実を捏造した悪質なキャンペーン」の典型である。電気は蓄えることが出来ない、電気という商品の持つ、本質的な特質のために、昼間と比べ、産業現場での電力需要の激減する夜間電力を、無駄に捨てなければならない。

その損を少しでも減らす為に、電力各社は「揚水発電」も併用している。揚水発電は、より下い場所にあるプールに蓄えてある水を、夜間電気を使って、より高い場所にあるプールへと揚水する方式の発電のことである。日中の電力不足の時間帯に、このより高い場所から、より低い場所への落差を利用した発電を行うことと組み合わせることで、夜間の電力過剰を、昼の電力不足時に補おうとする発電方式である。だが、この「揚水発電」を使用することで、「揚水発電」を使用しない時よりも、約3割も電気を無駄に使用する。こうしたことを考えると、「揚水発電」は無駄な発電システムであり、電力単価を安くすることを阻害する原因となっている。

 また、原子力発電は蒸気タービンを使うことから、熱源の33%しか利用できないという熱効率上での限界がある。原子力のタービンにへ送ることが出来る水蒸気温度は摂氏270度~280度が限界であることから、33%より高く熱効率をすることが難しいからである。

 一方、同じ蒸気タービンを使う火力発電の場合だと、その熱効率は、50%を超えるものも最近では開発実用化されている。火力発電のタービンに送る水蒸気温度は、約摂氏500度近くまで可能になった為、それだけ無駄なく、熱効率を50%程度まで高めることが可能になっている。

 仮に、出力が100万KWの火力発電の場合だと、それと同量の100万KWの膨大な熱量を環境中に捨てることになる。それに対し、熱効率が33%で、出力も同じ100万KWの原子力発電の場合だと、火力発電の2倍の200万KWもの膨大な熱量を環境中に捨てる。火力発電よりも2倍も環境中に無駄なエネルギーを放出するのが原発発電。熱効率の面からも、原子力発電は極めて割高で無駄な発電方式である。



違う切り口もある:

http://www.taro.org/2011/04/post-977.php





















http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1644.php