About

2011年4月21日木曜日

逆立ちした数字合わせ


政府の原子力災害対策本部が示し、原子力安全委員会が会議も開かず了承したとされる「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」に基づいて、文部科学省は19日、福島県内の幼保育園と小中学校の校舎などを通常利用する際の限界放射線量を、1時間当たり3・8μSv/時間に設定するという通知を発表した。これは、16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20mSv/年に到達する空間線量率は、屋外3.8μSv/時間、屋内木造1.52μSv/時間になるという計算によるものらしい。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm

しかし、福島県公表データによると、例えば、福島市立第一小学校では、空間線量 3.4μSv/h であるが、大気中放射能濃度は 5.066(Bq/m3)、土壌放射能 14,743Bq/kg となっている。文部科学省が想定した生活パターンを送るとしても、この観測値では年間被曝量は20mSv/年を越えることになるのではないか。

年間20mSv/年という設定は、計画的避難区域の設定基準と同じで、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を基にしているそうだ。
他方、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故直後のソ連の安全基準は、100mSv/年で、2年目に50mSv/年、3年目に30mSv/年となり、また事故5年後1991年のベラルーシの避難基準は2段階:公衆被曝の1mSv/年を超えると住民は移住するか否かの選択権が生じ、5mSv/年を超えると「移住義務」が生じるとなったらしい。

あるMLに流れた報告によると、参院議員会館で今日の午後に、福島県の学校の校庭利用における「被曝限度年20ミリシーベルト」の撤回を求めている「福島老朽原発を考える会」などが、原子力安全委員会+文部科学省と交渉したとのこと。この交渉に先立って次のような訴えがあったと紹介されていた:



私はただの主婦です。5人の子どもを育てている主婦です。ここにいる方のような学問も知識もありません。わが子の命を守りたいとここに来た。
生きることの大切さを子どもに伝えてきたつもりだ。その生きる大切さを一瞬のうちに奪われてしまった現実を伝えたい。
福島の子どもたちは学校の中に押し込められて、ぎゅうぎゅうづめで通っている。それが20ミリシーベルトという数字が発表になったその日に、教育委員会は「もうここで活動していいです」と言ってきた。本当にそれで安全なのか分からないまま子どもを学校に通わせるのは不安だというお母さんはたくさんいる。
家庭の中でも、お父さんとお母さんの意見が違う、おじいちゃんとおばあちゃんの意見が違う。子どもたちはその中で翻弄されて、家庭崩壊につながっている家庭もある。学校に送り出した後に、罪悪感で涙するお母さんもいる。いろんなことが起こっている。
私たちただの主婦が分かるように説明してください。東大や京大や慶応や早稲田を卒業した人たちが地域に住んでるんじゃないんです。私たちは中学や高校しか出ていない。でも、子どもを守りたいという母親の気持ちはどこに行っても、日本中、世界中いっしょです。それを、あなたたちのような安全なところでのうのうと毎日を生活している人たちに数字だけで決められたくない。半径10キロ以内のところに対策本部を持ってきなさい。
どんな思いでとどまっているか、知らないでしょう。私たちは離れられないんです、あの場所を。生まれた時からずっと何十年も住んでるんです。子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃんも、あの場所を離れたら…。
こんなひどいことをしておいて、数字の実験? ふざけんじゃないよ。
こんなことが許されるんですか。私はとてもじゃないけど冷静な気持ちでこの場にいられない。あなたたちの給料、あなたたちの家族を全部、福島県民のために使いなさい。福島県民を全員、東電の社員にしなさい。給料を払いなさい。
そして安全を保障してください。
私たちは子どもたちを普通の生活に戻してあげたいんです。母親のこの願いをかなえてください。