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2009年5月22日金曜日

改憲どころではないか?

先日、総選挙後に鳩山民主党連立政権ができた際には、政界の再々編が起こり、またぞろ明文改憲派が分立して来る。行き詰った社会状況の如何によっては、その閉塞感を改憲によって打ち破ろうとする可能性が出てきたのではなかろうか等と危惧した。しかし、少しばかり最近の民主党に関する報道を見ていて、やはりそんな可能性は低いことを再確認した。

民主党は先の参院選挙で、「国民の生活が第一」を掲げて勝った。それでも一般民衆の生活はさして良くなっていない。企業の業績なるものも「下げ率」が弱まったに留まり、全体として下降傾向にあることには変わりない。株価が多少もち直していることから将来への期待感が上向きになっている人も少なくないようだ。しかし、小泉改革を通して生じた大きな社会格差と貧困が、解消の方向に向かっていると感じている人は少ない。

どうやら鳩山は、「友愛社会」なるものを掲げて党首選挙で勝とうとしているらしいが、その内容は到底、ここまで進んだ社会の貧困化と全国を覆う格差を解消していく方向に向かわせるものとは思われない。

◎ 政治家主導の予算編成、企業・団体献金の禁止、 ◎ 「後期高齢者医療制度」の廃止、 ◎ 介護労働者の待遇改善、 ◎「子ども手当」至急、高校の無料化、 ◎失業保険強化と求職者支援制度新設。

正面から失業者、非正規雇用の生活を救う提言がなされているとは思われない。
「それでも自公よりまし」、「この程度なら財界も受入れるだろうから実現可能性がある」として民主党に投じる人は増えるではあろう。しかし、衆院の自民303、公明31の巨大な多数派を過半数割れさせるには、双方から93はもぎとらなくてはならない。民主単独での過半数には、現在の112議席の倍以上241が必要だ。

参院は民主118 vs.自公113。多数とはいえ議席差は少ないから、国民新党や社民との連携が始終問題になる。夏の衆院総選挙でも民主党は第一党になれたとしても単独過半数には遠く、連立が必要にならざるをえないだろう。そんな時に、敢えて改憲についての連立、しかも改憲発議につながる3分の2にどうしても必要となる自民との大連立は、部分的にでも可能となるだろうか。

あり得るとしたら、やはりソマリア海賊対策のような個別課題での大連立の積み重ねであり、その当面の大問題はオバマ政権に迫られているアフガン派遣、つまるところ自衛隊派兵だろう。

明文改憲のシナリオは当分は息を吹き返さない。しかし、海外での武力行使の事実上の拡大へ向かう動きは、民主党首班の政権交代があってもなくならないと思う。