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2009年7月15日水曜日

裁判官候補者にホームレス生活を必修に

去年、久しぶりに裁判傍聴をして、裁判官や検察官の人を上から見下しているような視線の冷たさ、傲慢な様子にあきれたことを書いた。今日、たまたま新聞をくっていると次のような記事に出会った。

「朝日」の夕刊によると98円の消しゴムを万引きした70歳の女性が、懲役2年の実刑判決を下されたとのこと。「朝日」報道によると、この1月に出所し、生活保護を受けて一人暮らし、月1〜2長男に手紙を出すのに「消しゴムがあれば便利」と思い、スーパーで万引きし現行犯逮捕されたのだという。宮本聡という裁判官は「被害は小額だが、手慣れた犯行で実刑は免れない」とのたもうたそうだ。この裁判官はあるいは、現在の生活保護の貧困さを知って敢えて実刑判決を下したのかもしれない。しかし、刑務所に送り返して一体何が解決されるというのだろうか。愚かな犯罪である。しかし余りに哀れな犯罪ではないか。

今では裁判官や検察官になる連中の出身家庭の殆どは、最低年収1千万以上、中には数千万という人も少なくない。日々の暮らしに困るという経験は皆無、周囲・友人にも見たことがない。小中から進学受験本位の進学校。親類縁者にも法曹関係者がちらほら。こんな姿が思い浮かばれてくる。あるいは僕の想像だけのことかもしれない。しかし、600万円に届かない全世帯の平均年収の家庭から、裁判官や検察官になる人が多数輩出されているのが現状だとは、到底思われない。

「階級裁判が復活している」と迄は言わない。しかし、こんな記事に出会うと、司法修習には、例えば「非正規雇用で1年間暮らすこと」「生活保護だけで1年間暮らすこと」「ホームレス生活を1年間すること」等を、修習生全員に必修させたくなる。