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2009年7月17日金曜日

勉強熱心ということ

「ベトナム人労働者、勉強熱心も長期目標に関心なし」という記事をサイトで見つけたので、ベトナムに行っているA君に伝えた。すると直ぐに返事があった。

http://www.hotnam.com/news/090716094309.html

http://www.thewatch.com/


T先生へ

ベトナム人は、超勉強熱心ですよ。学生の中にも、大学を掛け持ちしているがいますし(大体、技術系と語学系)、会社に通いながら、夜は語学なんていうのもザラです。継続教育という名で、学校教育後の教育の機会を設けているのですが、いやはや、このベトナム人から、「日本人は勉強熱心で、すごいです」なんて、言われた日には、即否定したいぐらいです。

たとえば、日本の欠点は?とかにどれだけこたえられるかは定かではありません。基本的に、夢に向かって、勉強しているので、その夢の内実は、あまり考えていない気がします。日本語を勉強する学生の中では、「日本語教師になりたい」か「日本の企業で働きたい」というのが、多数派の夢です。

ただ、卒業生の中には、語学だけじゃ職がないことを知っている人もいました。曰く、「日本語教師になりたい」ではなく、「日本語教師にしかなれない」そうです。

そうそう。ベトナムの英字新聞で、日本の教育が取り上げられていました。なんだと思います。「日本で英語教育が加熱」みたいな内容です。笑っちゃいました。ベトナムで、こんな取り上げられ方しているなんて。

ただ、街中や家の中には、日本企業の製品が所狭しとあります。観光の中心地、ホーチミン市のベンタイン市場の周りを見回せば日本企業の看板ばかりです。久光製薬のサロンパスまであります。憧れるのも、バカにはできません。もちろん、短所を分かっていて、しゃべらない可能性もありますが(私の立場もありますから)。

しかし、T先生も気にしてこういう記事を見てくれるのは、うれしいことです。ありがとうございます!!



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僕はこの10年程、教員としての仕事よりあたかもカウンセラーとしての応対に時間を取られている。昔で言う不本意入学なんてものではない。そもそも、何のために大学に入学したのか考えたこともないような連中が激増しているのだ。不本意入学なら上出来である。本来は行きたかった大学、学部があるからだ。それすらもない学生が多数派になっている。

18歳人口が減ったため始まった「大学説明会」にまで、何と親がついて来る。受付で名前を書いてもらい、入試の際には無条件で不合格にしたら良いと提案して顰蹙をかった。入試当日も試験会場の外に何人もの親たちがたむろしている。その大部分は我が子がきちんと受験するよう、受験から逃げ出さないための監視だそうだ。

「面白くない、難しい、分からない。だから悪い授業だ」と平然として言う。バナナの皮に滑ったという類い、つまりバラエティ番組程度の笑い、クイズ番組のトリビア情報(つまり話しのネタになるだけの話題)が知識だと思っている。次回迄に考えておくテーマを出しても誰も考えては来ない。「聞いていませんでした。どんな課題がでたのですか?」と居直る。ノートはとらない。黒板に書くと、高校までの条件反射で書き写し、「板書が汚い」と文句を言う。講義の筋道、何が問題かを押さえることができない。まして、「この問題の先には、こんな問題がある。興味を持った人は是非この本を読んでみるといい」と言っても誰の手も動かない。

大学は入れば良いところであって、後は如何に楽に卒業するかの場でしかなくなっている。少なくとも僕の職場ではそういう傾向がどんどん加速している。当然に卒業論文は書けない。加えて就職難となると、精神的に不安定になっても不思議ではない。

5年前なら、「何?」と振り返るような娼婦スタイル、寝間着スタイル、訳の分からない色の組合せは、最早多数派になっている。

「君は本当は何がやりたいのだろう。そのことを考えたことがあるかい?」「親に言われたからとしても、その親は君の人生を君に代わって過ごすことはできないのだよ」「そんなに遊びたいなら徹底して遊ぶべきじゃあないのか? 遊びながら単位も取りたいなんて大学をなめるのは止めてほしい。君に今必要なことが遊ぶことなら、カネのことは知らないけれど、それを徹底してやるしかないじゃあないか」等々。カネのためならカネのためにと、きちんと目標をもって頑張るベトナムの学生に、この国の多くの学生は必ず負ける。