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2010年1月21日木曜日

注目される違憲判決



4月下旬の陽気だったという。それが影響しているとは思われないが、最高裁が政教分離事件で13年ぶりに違憲判決を出した。北海道の砂川市が市有地を神社に無償提供し、使用させていた事件についてだ。

これまで最高裁は、「目的が宗教的意義を持ち、効果が宗教に対する援助・助長・促進・圧迫などになる行為」でなければ、国が係わる宗教的活動であっても違憲ではないと政教分離原則を緩やかにとらえる、いわゆる目的効果論を使って愛媛玉串料事件を除き、次々に合憲判決を出していた。

報道によると今回の判決では、目的・効果基準を持出さず、「宗教施設の性格、無償提供の経緯や態様、これに対する一般人の評価など諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合判断すべきだ」という新しい「基準」が示された。

同様のケースは全国で2千以上あるというから、この判決の影響は小さくないだろう。政教分離運動次第では、身近にある政教癒着を全国で見直す手がかりになるかもしれない。とはいえ、この判決が高裁に差し戻しをしておきながら、なお違憲状態の解消方法として無償の譲渡など、結果として宗教団体への便宜をはかることになる例を挙げているのはおかしい(それこそ目的効果論にも反する?!)。