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2010年1月27日水曜日

何についての「一票の格差」か

昨日は午前中、少人数の授業を終えた後、都心に戻り、日弁連憲法委員会で「転換期における非武装平和主義」というでかいテーマで喋らせてもらった。それなりに準備を重ねていたのだが、予め与えられていた時間をこえて1時間半話してしまい、予定されていた質疑応答の時間をなくしてしまい、みっともなく申し訳ない次第になった。かなりめげた。そもそもが、およそ1時間半でおさまるような内容構成ではなかった。大反省。

しかし、それなりに仕込みにも力をかけたので、この際は長くなっても文章にまとめようと思う。



25日、広島高裁でも昨夏の衆院選挙における「一票の格差」について違憲判決が出た。いわゆる「一人別枠方式」が格差拡大を助長している主要原因との判決らしい。では、「一人別枠方式」を止めてしまえば問題は解消されるだろうか。そもそもこの「一人別枠方式」は、過疎地域への”配慮”からとられたものだ。そこには小選挙区制、つまり多数代表ルールとは異なる考え方からの配慮が働いている。それはつまるところ比例代表ルールに繋がる考え方ではないだろうか。

小選挙区制を前提にして「一票の格差」を解消しても、投じられる一票と議席配分との関係での格差は、つまるところなくならない。先の大阪高裁判決と共に、この判決も支持し歓迎する声が多いようだ。友人の上脇さんもその一人:

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51317918.html

しかし、多数代表ルールである小選挙区制を前提にして、この種の違憲判決を支持することは、同時に多数代表ルールを徹底させろと主張することに繋がるのではないか。上脇さんは小選挙区制違憲論を熱心に説いてもいるので、小選挙区制を前提にした格差是正論と小選挙区制違憲論とがどうして両立するのか、どうも分からない。

http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51238905.html

選挙区ごとの「一票の格差」が問題の核心なのか、全議席の配分における「一票の格差」が問題の核心なのか。ぼくは後者だと思う。