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2009年6月24日水曜日

多数決の正当性根拠

ある組織の意思決定機関で、そのメンバーの意見が分かれ中々まとまらなかった。遂にある人が「もう時間もないし多数決で決めましょう」と言った。多数決での決定を提案した人は明らかに少数、それも単独少数意見だったので、司会役の僕はこれ幸いとさっさと多数決での表決をした。

ところがその後、驚くべきことが起こった。

「皆が間違えているのにどうしてそれが多数だからといってそう決まるのだ! 自分は正しいことを言っている。何が本当に正しいかが分からないで間違えているのは皆さんの方だ。確かに自分は多数決で決めようと提案した。しかし、だからといって自分の主張を引っ込めるつもりは毛頭ない。なぜなら自分の主張は正しいからだ。正しい主張を曲げることは、自分の良心が許さない。私は決定には従わないで独自に動く」

まあ、少し格好よく言うとこんな理屈で、自らも構成員である代表機関の会議で自らも加わって決めたことに対して、その人は堂々と反対行動をとり始めたのだ。これには驚いた。

しかし、気弱な僕はふと考えた。果たして彼の行動はおかしなことだろうか? 改まってこう問われると、なかなか答えにくいのではなかろうか、等々。

反対行動をとるなら、自分が加わっている代表機関から辞職/脱退する等して外れ、その後に行うのが筋ではないか? まして、自らが提案した決定方法に従って決まったことに対してならなおさらではないか? こんなふうに、これまでは考えて来た。しかし、彼のような頑固真実主義に対しては、こうした考え方は「中味を踏まえない単なる手続き論だ」として粉砕されるのではなかろうか等々。さて、どうなのだろうか。