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2010年5月12日水曜日

絶望的になる「トリセツ」


殆ど自宅に置きっぱなしでいた携帯電話を使おうとして、久しぶりで充電し画面を見ると何やらお化けでも出てきそうなチカチカとボンヤリしたものしか映らない。仕方なしに先週末にポイントとやらを使って機種交換に店まで行った。もっているポイントを使えば支払いなし、機能も簡単、「現在お使いのものと殆ど同じです」と言われたやつを選ぶと、在庫がないので暫く待てとのこと。それを今日受け取った。

ところが、「取扱説明書」というやつがひどい。304ページもあり、初めの6ページ目に訳の分からない言葉が出てくるので索引を引くと、その説明は60ページ目にあるという始末。目次だけでも6ページもある。ともかくも分かりづらい。何時になったら使えるようになることやら、先が思いやられる。

そういえば、半年前に「金を出せばもっと使いやすい奴に換えてやる」と言われ、ブルー何たらにも対応できるというDVDレコーダーを買った。ところが、このマニュアルも簡単版『らくらくガイド』が42ページ、詳細説明版『徹底活用ガイド』に至っては336ページ。とても読む気にならず、専ら僕をそそのかした若者が使うに任せている。

そんなマニュアルが悪いのか、そんなマニュアルなしには複雑な操作ができない多機能化がいけないのか、それとも僕が単に年老いただけのことなのか。僕は次々に機能を加えて行き、不可逆的に満艦飾になっていく“お便利志向”にこそ諸悪の根源があると開き直っている。かつても、自動車を買い替えるたびに前よりも大きく高性能のタイプに換えるのを当然のこととする大量の消費者がいた。ケータイ、自動車を持っていること自体が環境負荷を大きくしている。せめて少しでも簡単なもの、小さなものを求めるくらいの自制をするのがまともさというものではないのか。